「悩み」の正体とは何か? 誰にも役立つ対処法とは?  

生き方のヒント

「悩み」というものを辞書でひくと『心の中であれこれと思い苦しむこと』と書いてある。
みなさんも、何らかの悩みをかかえながら生きているのではないでしょうか?
では、その「悩み」の正体とは何でしょうか? 解決方法についても解説していきたいと思います。

「悩み」とは何か?

世の中に「悩み解消」に関する書籍やネット情報はたくさんあると思います。
その殆どが、『問題解決』に関するノウハウであったり、心構えではないでしょうか...

決してそれが間違っているという事ではなく、非常にありがたい言葉であったり、対処法であったりするのは間違いないです。

では、「悩み」そのものが何であるのか? 根本的な正体とは何なのか? 考えた事はありますか?

経営の神様である松下幸之助氏は、生前こう語っていました。

千の悩みも一つの悩みも、私は悩みは一つやと思うんであります。
千の悩みを持っているからつらいということやなしに、悩みは私は常に一つやと思うんであります。
 というのは、ここに一つのちょっとしたできものができる。そのできものが非常に気になる。けれども、今度お腹の一部に大きなできものができるとなると、この小さいできものはもう忘れてしまいます。今度はこのほうにかかる。そういうように、悩みというものは私は一つに集結すべきもんだ、百の悩みをもっておっても、結局悩むものは一つである、いちばん大きなものに悩みをもつ、そういうようなもんだと思うんです。

松下幸之助が直接語りかける 人生で大切なこと より引用

最近では「人生百年時代」といわれるなか、私自身も半世紀以上を生きてきて、ようやくそうだなという思いに辿り着きました。
 私は生き方が不器用なのか、若いころからつらい事を選んで生きてきたように思います。
その分、悩むことも多くありました。悩みの数を人と比べた事はありませんが、きっと悩むことは多かったのではないでしょうか。でも、今となってはそれが人生の糧となり力強く成長できたと思っています。

でも、その「悩み」の根源に辿り着くまでは、悩みでないものも「悩み」だと思って(勘違いして)苦しんでいたように感じます。

人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである。

アルフレット・アドラー

2~3年前にも流行した「嫌われる勇気」という本の中でも紹介されている言葉です。

私は、「これだ!」 と思い至りました。

そう、悩んでいたのはすべて「対人関係」であったのです。

どうしても仕事上、色々な問題が発生して悩むことはあると思います。
しかし、殆どは技術的なスキル不足であったり、ミスであったり、環境の違いであることが多いことに気づかされます。私たちはそれを「悩み」という事にしていたのではないでしょうか?

でも、突き詰めていけば、本当に悩んでいたのは「対人関係」そのものだったことに気づくはずです。
世界中で自分ひとりきりにでもならない限り、何らかのかたちで誰かと接する事があると思います。
そんな時に頭を悩ますものが、対人関係の中でも「困った人たち」ではないでしょうか。

それが解消すれば、あとは方法論だけなので、問題と思っていたこともすぐに解決するはずです。

だが、課題もあります。それは、対処法を間違えると一向に問題は解決することなく「悩み」は深くなるばかりになるということです。次の章では、その対処法についても解説していきます。

「悩み」解決の対処法

「悩み」の根源は、「対人関係」にあるとお伝えしました。仕事を進めていくうえでも、近所の方とのお付き合いをするのも、学校の中で生活するにも、色々なタイプの人達との付き合いが避けられないものです。そのなかには、前出の「困った人たち」がいるものです。
この人たちへの対処法を間違えると、問題は大きくなるばかりか解決のめどは立ちません。
そんな厄介な人たちの分析をし、対処法まで解説した書籍があります。

「困った人たち」との付き合い方   ロバート・M・ブラムソン著(河出書房新社)

私がこの本に出会ったのは、今から26年も前の1997年のことです。
まだまだ若者(ばかもの)だった私には、少し分かりづらい表現があったり、経験が足りない事で理解できない事もありましたが、大変参考になった書籍です。

この本の中では、「困った人たち」を7種類のタイプに分類し、解説していきます。

「困った人たち」の分類

  1. 敵意を秘めた攻撃型
    シャーマン重戦車型、狙撃手型、爆発手型の3タイプに細分される
  2. 完全な不平家型
    「それにもう一つ・・・」という感じに果てしなく続く、独りよがりの非難と告発
  3. 貝型
    無言で反応しない人たち
  4. 過剰同調型と愛想がよすぎる人たち
    どんな人でも、人に好かれ、愛されたいと望み、愛想よく対応してくれるが、土壇場で背く
  5. 否定型
    「それはうまく行かない」「努力しても無駄」など人のやる気をくじくような人。
  6. 自信過剰の専門家型
    徹頭徹尾正確に考えるブルドーザー型と、いんちきで知ったかぶりの専門家である風船型に細分される。
  7. 優柔不断な決定回避型
    自分で決断できないタイプであり、重要な決定を迫られても決定自体が不要になるまで、うまく口実を設けて遅らせる傾向がある決定回避型が特徴。

この様に「困った人たち」のタイプには7種類あるので、あなたが想定する「困った人」をイメージしながら、そのタイプを理解し、対応するように心がけましょう。
相手も人間なので曖昧な所があると思いますが、殆どこの7種類に区別できますし、当てはまるのではないのかと思われます。

効果的な対処法と手順

タイプ別の詳細な対処法については、書籍にゆずるとして、ここでは、あらゆるタイプの「困った人」に対して対応できる方法を順に紹介いたします。

1.状況を把握する

第一の手順としては、いま自分が「困った人」を相手にしているのか。普段はそうでないのに一時的に「困った」行動をその相手がしているのか、ということを見定めること。

「困った人」であることを見つけるには、以下の4つの質問をしてみることで判断がつくようだ。
Q1.彼らは普通は、三つの同じような状況で違う行動をしているか?
  問題だと感じた、その前と現状、そしてその後を通して彼らが「困った人」であるのか判断しよう
Q2.こちら側が、問題の状況に対して必要以上に反応していないか?
  問題だと感じている人に対して、毎回必要以上に自分が反発していないか?見極める事。
Q3.問題の行動を引き起こした原因が、明らかに特定できるか?
  問題を引き起こすような何らかの出来事があったかを明らかにし、相手とオープンに話し合う
  だけでも、問題はかなり解決できる。
Q4.直接オープンに話し合えば、状況は改善するか?
  状況は少しも改善する事はないかもしれないが、相手とうまくいってないだけかもしれない。
  また、自分が間違っている場合もあるかもしれないので、何とかそれを解決するように最善
  の努力ができるし、相手に対してこちらが真剣であることを伝えられる。

2.相手がこんなふうでなければなどと望まない

「困った人」の対処で最も大切な心構えが「相手がこんな人間でなければよかったのに」と願う事をやめることである。
・相手を責めても変わらない
・変わるだろうとい魔力を期待しない
人は簡単には変われないものである、無駄な期待などしないことだ。

3.問題の行動には距離をおいてなるべく客観的に観察する

「困った人」に面と向かうと、怒りや不愉快な関係に引きずり込まれ、うんざりする事も多くあります。そんな時は、彼らの行動パターンを観察し、原因が何であるのか理解することで、対処法が見つかるものです。そのためには、なるべく相手との距離を置いて自分が原因なのか、相手の状況によって「困った人」になっているのか、一時的にそうなっているのかを判断しましょう。
そして、「困った人たち」の7タイプに分類して対処していきましょう。

4.相互関係の流れを方向転換するプランを立てる

「困った人」の振る舞いを距離を持って観察することで、彼らをある程度理解できたら、さらに効果的な対処ができる様に計画を立てる必要がある。

・二種類の行動型から考える
人間の行動は高度に相互関係に基づいた性質を持っているので、同じシチュエーションで行われる事について、否定的な観点からと肯定的な観点から見た二種類の行動を想像してほしい。
例えば、一つは、上司から言われて無理やり行かされたセミナーでの態度と、もう一つは自ら望んで出席したセミナーでの態度である。
聞く話は面白くもなく、居眠りをしていたり、外を眺めていたりする人たちで形成されたセミナーと、積極的に情報を取り入れようと努力し、活発に質問をする状況のあるセミナーではあきらかに違いがあるはずだ。
非協調性の高い場面にいる「困った人」たちも、肯定的に考える対応法は持ち合わせているので、彼らから否定的な反応を引き出せるよう、建設的な対応に心がけるべきだ。
・応用方法は相互関係に中にある
「困った人」の行動に対処する際には、お互いの相互関係を見つめなおしましょう。
まずは、自分が抱えている問題にクローズアップし、自らを変えていく努力から始めましょう。
決して、相手が変わってくれることを延々と期待して待たない事が重要です。

5.自分の戦略を実行する

適切な対処計画を作ったら、今度は実行です。
そこで一番重要になってくるのが、実行するタイミングになります。
気を付けたいことは
・「困った人」が、他の仕事や問題で時間を忙殺されていない時を見計らう事。
・自分が計画を実行するための時間や労力があるかことを優先する。
・事前準備なしに行動はしない事。特に緻密で実行力のある「ブルドーザー型」などにはかえって
 突っ込まれる隙を自ら与えてしまう事になるので気を付けて。

6.対処法の効果を注意深く観察し、必要なら軌道修正する

どんなに、周到に計画し準備してから行動に移しても、1度や2度で解決する事は無い事はあるものです。
また、思っていたタイプが違っていたというケースもあります。そんな時は、もう一度冷静に見つめなおし、「困った人たち」のタイプから見直し、対処法を再構築してみてください。

最後に、一生懸命努力し、できる限りの対処を続けてきたが、その努力が実らない時はあるものです。
そんな時は、お互いの関係に被害を大きくさせないためにも「離れる」という事もあります。
それが双方にとって最も良い事であれば、一番よい解決法になるといえますね。

まとめ

「悩み」の本質について考えていくと、その本質は「対人関係」にあることに気づかされる。
「対人関係」は相互関係に根付いたデリケートな問題であり、その解消方法を間違えるとかえって問題を大きくしたり、いつまで経っても解決しない事がある。
その問題を解決するためには、相手との距離を置いて冷静に相手のタイプを判断する必要がある。
そして、そのタイプ別の対処法に従い、まずは自分に問題がないかを見極め、自分側の問題を解決するように努力する事。
決して「相手がこんなふうでなければ等と望まない」ことである。
人はそんなにも変われないし、自分の望むようにはなりません。また、対処についても一度や二度で諦めず何度も繰り返し行動してみてください。

誰でも程度の差はあれ「困った人」と折り合いをつけて生活していかなくてはいけない事が多いものである。
そんな時には、今回の様な対処を学び実践する事は有益になる事だと思います。

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